中世の人も勉強熱心! 江戸時代以前でも識字率は高かった?
ニャンと室町時代に行ってみた 第6回
寺院を中心とした庶民の教育は室町時代から?
平安・鎌倉時代まで、教育の対象は貴族や武家の子どもたちで、読み書きはもちろん、和歌、漢詩、音楽、物語、儒教など、幅広い教養科目を学びました。一方、庶民の教育機会は限られ、子ども時代を稚児として寺院で過ごした一部の人に限られていました。
室町時代になると、わずかながら一般庶民の教育を担う寺院が現れます。永享7年(1435)に成立した『長谷寺霊験記』には、摂津国住吉の藤五という者が息子を和泉国の巻尾(まきのお)寺へ送り、読み書きを学ばせた話があります。16、17歳くらいになったら呼び戻して家業を継がせるつもりでしたが、期待に反して息子は出家してしまったということです。
また、16世紀後半、興福寺多聞院の英俊という僧侶の日記によると、多聞院やその子院には奈良の商人の子どもたちが読み書きを習うために預けられていて、その中には女子もいました。先のザビエルの書簡にも、僧侶は自分の寺院で子どもたちを教育し、尼僧は少女に、坊主は少年たちに書くことを教えていたと述べられています。